2017年5月7日と14日放送のサイエンスゼロで
遺伝子についての特集が行われてきました
遺伝子を駆使した治療というのも、登場して
来ていますが、果たしてどういうものなのか?
遺伝子について、少し学んでみましょう。
目次
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ゲノム編集で新たな生物が誕生?
既に海外では、筋肉量が通常とは倍以上違う生物を
生み出しています、筋肉量が通常の4倍以上の牛
2倍以上の真鯛など。
どうしてこういう事が可能なのかというと
遺伝子を編集しているからなのです。
ゲノムというのは生命の設計図のことを言います
世界中でゲノム編集が行われていて
将来的には人間の遺伝子も編集可能。
和歌山県白浜町で、世界が驚く生物が誕生した
それはゲノム編集をした真鯛です。
大きな特徴として腹回りの筋肉量が増えている
劇的な変化に関係者も驚いていた。
どうしてこうまで通常の真鯛と変わるのか?
その秘密がゲノム編集、そもそも生物は
筋肉が大きくなりすぎないように、制御する
物質を持っています。
それがミオスタチンというたんぱく質です
ミオスタチンを作る遺伝子の働きによって
生み出されている。
ゲノム編集の技術で、ミオスタチンを作る遺伝子の
部分を切り取ったら筋肉は際限なく
ある程度まではついていく
これで筋肉量の多い真鯛が誕生した。
アメリカでも同様で、肉牛のミオスタチンを取り除き
筋肉量が4倍にもなった肉牛が生み出された
お尻周りの筋肉は見事に隆起していた。
このような筋肉量の変化だけではなくて
鶏の卵にも、卵アレルギーを起こすたんぱく質が
出来ないようにしたものもあります
食糧の未来を変えるための技術ですよね。
食での話になると、遺伝子組み換え食品
というものがありますよね?
特に大豆やトウモロコシではよく耳にするはず。
従来は細菌を使った遺伝子組み換えを行っていた
細菌を使いその中に遺伝子を入れたりしたが
これではどこの遺伝子にくっつくかわからない。
そこでゲノム編集をすることで、狙った遺伝子を
上手く改変して他にはあまり影響がなく
いい品種がすぐ作れる、という事が出来るようになった。
以前は作物の改良に5年ほどかかっていたが
現在はその半分にまで短縮することができた。
日本人が発見した遺伝子を操る驚異の物質
福岡市にある九州大学、石野良純教授
クリスパーキャスナインという物質を見つけた。
今から30年前、温泉の研究をしていた
強い酸性や、100度ほどで生息している生物の研究です。
古細菌と呼ばれるとても原始的な生物
地球が生まれてから生息している細菌で
特別な性質を持っていると言われている。
高温環境でどうやって自分の遺伝情報を維持
複製して、生命を維持しているのかを
知りたかったのです。
石野先生はかたっぱしからゲノムを研究していて
たまたま見つけたある遺伝子の配列
そこに繰り返し現れる同じ遺伝子配列を見つけた
これは新しい遺伝子配列だったようです。
これをクリスパーと呼び、もっと調べていくと
古細菌の原始的な免疫システムである
という事がわかった。
古細菌のゲノムには、クリスパーが飛びとびに
記されている、そこにウイルスが感染すると
それを古細菌の中に入れ込む、すると異物を察知した
古細菌はウイルス遺伝子の一部を
クリスパーとクリスパーの間に取り込みます。
再び同じウイルスが古細菌に侵入し感染すると
RNAという別の物質に写し取る、そしてクリスパーの
部分が折りたたまれ、古細菌の中を動き回る
そしてはさみの役割を持つ、キャスという酵素と合体
これでクリスパーキャスの誕生です。
クリスパーキャスはそこにウイルス遺伝子を見つけると
そこにピタッと結合、そしてウイルス遺伝子を切ってしまう
これは免疫機能だと考えられている。
この発見から25年経って思わぬ展開が・・・・
イギリスとアメリカのゲノム研究機関がクリスパーに注目
折りたたまった先についているウイルスの遺伝情報を
ゲノム編集で切りたい遺伝子の情報と付け替えたら
その遺伝子と同じ情報を持つ遺伝子を
切ってくれることがわかったのです。
その後数年でクリスパーを使ったゲノム編集は
世界中に拡がっていきました。
最初に見つかったこのクリスパーキャスナイン
というものが、非常に切断の活性も高く
よく使われているとのことです。
今では研究者が切りたい遺伝情報が付いた
クリスパーキャスナインが次々と作られている。
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ゲノム編集が突きつける新たな問題
中国では現在ゲノム編集が盛んにおこなわれている
現在1兆円もの資金を投じて研究がされている。
現在は犬のゲノム編集を行い、ミオスタチンを
切り取った犬は筋肉量がまし現在も元気に生きている
サルでも同様の実験をしているようです。
しかし、2015年4月ついに人間のゲノム編集を
行ったのです、ただし倫理的には大きな問題でもある。
病気の治療に大革命!ゲノム編集医療
中国の上海、3月末に大きな学会が開かれて
集まったのは国内の医学の若手研究者たち。
ゲノム編集医学をテーマにした学会です
2030年までに1兆円を投じると表明している。
その1つの研究施設では、様々な病気について
ゲノム編集の研究が行われている
グルタル酸血症という病、運動神経がマヒして
手足に力が入らなくなる病気です。
特定の遺伝子が働かないために起こる病気と
考えられているのですが、患者数が非常に少なく
ほとんど解明されていない。
まずどの遺伝子が病気の原因かというのを研究する
ところから始めていきました、その状況を
人為的に作って詳しく調べていった。
マウスで実験を行い、色々な遺伝子を切って
症状が出るかどうかを調べ、そしてとうとう
グルタル酸血症の原因となる遺伝子を突き止めた。
そして次に、この遺伝子に変わり
正常に働く遺伝子を組み込めば、病気は
治るのではないかと考えたのです。
そこで病気の原因遺伝子を修復する物質を入れた
液体を使い、これをグルタル酸血症を起こした
マウスに投与、すると神経がマヒしていたマウスが
1ヶ月ほどで歩けるまでに回復したのです
これはいわば
『ゲノム手術』
といったところでしょうか。
遺伝子が原因で起こる病気というのは
わかっているだけで5000種類もあると言われ
原因遺伝子がわかっていない病気も3000種類
あるとのこと。
傷口の血液が固まりにくくなる血友病
全身の筋力が低下する筋ジストロフィー
などです。
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ガンを根治!?ゲノム手術の威力
アメリカのマサチューセッツ工科大学である
中国人留学生が全く新しいがんの治療法を模索している
ガン細胞を見つけると攻撃してくれる白血球T細胞
頼もしい細胞ですが、その表面にはPD1という
ボタンがあり、これを癌細胞に押されると攻撃はしない。
この攻撃をしない間にがん細胞は増殖していく
なので、このPD1というボタンを押させないように
する免疫療法というものが世界中で注目されている。
そこで留学生が考えたのが、いっそ白血球T細胞から
PD1をなくしてしまうという考え。
実験をしました、遺伝子に書かれているPD1の
情報を切り取った、そしてそれだけではなく
キメラ抗原受容体という、がん細胞を見つけて
捕まえる物質に注目。
これをゲノム編集でキメラ抗原受容体を作る
遺伝子をくっつけたら、PD1を持たない
白血球T細胞を生み出すことが出来たのです
これでがん細胞の攻撃をあまり受けることなく
死滅させることができると考えられる。
この新たに生み出された白血球T細胞を癌細胞に
つけてみると48時間後には90%以上もがん細胞の
死滅率を計測したのです。
つまりこの白血球T細胞を人間の体内でも
増やすことが出来れば、ガンを撲滅することができる
とみられていますが・・・マウスと人では
違いはあるでしょうね。
日本でも病気の原因となっている細胞を摂取し
遺伝子を切り取って入れ替えたりして
体内に戻したりする試みです、まだ研究段階ですが。
命を救うゲノム編集治療
アメリカのロサンゼルス、ゲノム編集を人間の
治療に応用する実験が行われている。
ある男性、バレエダンサー時代にエイズウイルスに感染
エイズウイルスはゆっくりと免疫力を弱くしていく病気
その薬を毎日何錠も飲んでいた、副作用ももちろんあり
めまいや下痢に悩まされていた。
そんな男性が、主治医に勧められたのがゲノム編集治療
まず血液を採取し、治療のターゲットを見つける
この場合はリンパ球が選択された。
リンパ球には表面に特有の突起がある
エイズウイルスはこの突起に結合して、リンパ球の
内部に侵入し増殖、そしてリンパ球を壊す。
そこで新たな治療法では、採取したリンパ球の
ゲノムを編集して突起を作る遺伝子を切り取る
これを体内に戻すと、男性の体内では
突起を持たないリンパ球が増えてエイズウイルスの
増殖が食い止められると考えられるのです。
治療を始めてしばらくしたら、薬の服用が
必要ないくらいに免疫力がアップしたのです。
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生態系まで変わる驚異の遺伝子操作技術
更に人の受精卵でゲノム編集が行われている
これは中国で行われた実験です。
もう人間にもゲノム編集が行われていくのは
時間の問題ですね。
話は変わり、これから夏に向けてある生き物が
我々人間のすみんを悩ませます、そうです、蚊です。
蚊が媒介して引き起こした病気に
ジカ熱やデング熱がありますね、かゆみだけではなく
様々な病気を発症する可能性がある。
蚊は地球上でもっとも多くの人間の命を奪っている
そこでゲノム編集を使っておさえようとしている
カリフォルニア大学のアーヴァイン校で。
蚊の媒介で感染する病気にマラリアがあります
これはマラリア原虫が蚊の体内に存在し
これが人の血を吸うときに、人間の体内に
マラリア原虫が入ることでマラリアとなってしまう。
そこでマラリアを撲滅するには、蚊がマラリア原虫に
感染させないようにすればいいと思い、研究をし
マラリア耐性遺伝子を見つけ、蚊の受精卵の
ゲノムに書き換えました。
しかしこれは、耐性遺伝子を持つ蚊と
持っていない蚊の交尾では、耐性遺伝子を持つ蚊が
産まれる可能性は少ない。
そこで相手にも耐性遺伝子を組み込む新たな遺伝子を
蚊のゲノムに付け加えた、ゲノム編集遺伝子です。
これによって、ゲノム編集が行われた蚊が
産まれるようになっていくのです
計算上2年で何とかマラリアを絶滅させたいとのこと。
まだまだ研究の余地があるゲノム編集
今後どのような事が実現されるのか
注目されますね。
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