サイエンスゼロ、ドラッグ・リポジショニングとは?

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2016年7月30日放送のサイエンスゼロ、今回は
ドラッグ・リポジショニングについての特集。

 

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ドラッグ・リポジショニングが注目されている!

新薬は生まれにくい状況となっています、というのも
新薬の素となる化合物が頭打ちとなり
新薬を創薬することが難しくなっているためです。

 

そんな中、既存薬を別の疾患に使えないか?
という取り組みが行われています。
それがドラッグ・リポジショニングといいます。

 

例えば糖尿病治療に使われているメトホルミン
これはがんの治療に効果があったり
次に高脂血症の治療に使われるスタチン
これが脳梗塞の発症を抑制すると言われている。

 

どうして既存薬をもう一度見直すようにしたのか?

それは新薬の登場に問題があります、日本の新薬の
誕生確率というのはなんと3万分の1と言われています。
ほとんど誕生しないと考えてもいい位。

 

そこには開発費も莫大にかかると言われていて
1つの薬を作るのに1千億円ものお金が使われることも
珍しいことではないようです。
そういう事もあり、ドラッグ・リポジショニングが
注目されるようになったのです。

 

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最新のドラッグ・リポジショニング情報

大阪にある国立循環器病研究センター。
カルペリチドという心不全の薬、血管拡張や利尿
といった作用があります。

 

ところがこの薬が肺がんの転移を抑えることが
わかったのです、野尻崇先生が見つけ出しました。
意外でとても驚いたそうです。

 

肺がん患者は5割が転移すると言われていて
一度肺がんを患うと根治がかなり難しいがん。
しかしカルペリチドを投与している患者さんは
転移が3割に抑えられたというのです。

 

どうして転移を抑えることが出来たのか?
血管の話になりますが、Eセレクチンという
血管の中に炎症が起きると発生する物質があり
炎症が起こると、炎症物質が血管内に流れます
それをキャッチするのがEセレクチン。

 

肺がんの手術を行うと、多くのEセレクチンが発生
そこにがん細胞が付着すると転移が起こってしまう
そこでカルペリチドを投与するとどうなるのか?

 

Eセレクチンが減少するのです、という事は
がん細胞が血管内に流れてきても、付着してしまう
可能性が少なくなる。

 

現在カルペリチドを投与した患者さんの9割以上は
2年たっても再発をしないそうです。

 

この血管中のがん転移からアプローチするというのは
治療としては世界初の試みだそうです。

 

既存薬がどうして他の疾患に効くのか?

他の疾患に対する効能が隠されていた、とのこと
しかし以前から隠された効能というものがあったのです。

 

例えばバイアグラ、シナデルフィルという成分は
狭心症に使用されていたのですが、今では
男性の性的機能不全の治療として使われています。

 

次にレバミピド
これは胃潰瘍の薬だったのですが、ドライアイの
治療にも使える事がわかったのです。

 

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遺伝子の発現を捉える最新機器

遺伝子と薬の関係というのも注目されていて
体内には2万4千の遺伝子があり、そのほとんどは
普段眠っています、そこで起きろ!という
伝達物質が出て、ここで初めて遺伝子は自分の活動を開始する。

 

これを遺伝子の発現といいます、しかし
所が病気になって周囲の環境が変わると、特定の
遺伝子の活動量が極端に増えたり減ったりする。
この遺伝子の異常な発現が病気に結び付く
それを元に戻すのが薬と言われています。

 

ではこの遺伝子の発現量はどのようにして
調べられているのか?
次世代シークエンサーという機械で測定しています。
特殊な遺伝子を振りかけて、1つ1つの遺伝子を撮影
全ての遺伝子の様子がわかってしまうのです。

 

発現量がわかってきたら次に薬を探す

薬を探すのは実験室かと思ったら、PCの前で
作業をしています、コネクティビティマップ
通称CMAPを使用して薬を探しています。

 

すでにCMAPがデータベース化されているので
そこに例えば大腸がんの治療に期待される薬という
風に打ち込み検索すると、抑制の可能性がある
化合物リストが出てくるのです。

 

しかしそれをすぐに使えるかといえばそうではなく
臨床試験を経て合格した化合物のみ
ドラッグ・リポジショニングとしてみなされます。

 

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世界初のがん治療を日本で行いました

ある方が抗がん剤が効きにくくなったという
話があり、それを再び効くようにするという治療が
日本で行われました、がんは前立腺がん。

 

がん細胞は耐性を持つと言われていて、同じ抗がん剤を
続けると耐性を持ってしまいます。
その抗がん剤の効果を再び引き出す薬を
見つける事が出来たのです、それはリバビリンという薬
C型肝炎の薬に使用されています。

 

82歳の男性は、がんを患い骨に転移も見つかり
4年という余命宣告を受けました。
既に10年以上抗がん剤治療をし、耐性がついてしまい
効果が得られなくなっていました。

 

そしてリバビリンを抗がん剤と併用して治療を
行うと半年後になんとがんが消えていたのです。
自分でも信じられなかったとのこと。

 

そのメカニズムは一体何なのか?
がん細胞は急激なスピードで増殖していきます
抗がん剤は増殖を抑え、増やさない作用があります。
所がこれを続けることで、がん細胞は分裂のスピードを
落としますがその代わり、バリアを作り抗がん剤を
受け付けないようにします、これが耐性。

 

このバリアを崩すのがリバビリンです
バリアが崩れると急激な増殖がまた始まり
抗がん剤をすることで、増殖が抑えられるというもの。

 

このドラッグ・リポジショニングの研究がさらに進むと
抗がん剤を使用しないがん治療、という夢も
実現するかもしれませんね。
以上となります。

 

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