2016年4月16日放送のテレビシンポジウム、今回は
がんは治る時代、先端医療最前線について。
日進月歩でがん治療は進んでいますが、今なお
日本人の死亡要因でガンはトップ。
現在の先端治療はどのようになっているのでしょうか。
目次
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分子標的療法の最新情報
がんの死亡者数、部位別ではこのようになっています。
肺がんが一番ですが、この肺がんに対して
画期的な特効薬が生まれ始めているようです。
東京大学の間野博行教授は、世界で初めて
がんの原因遺伝子を発見しました。
そこでガンの原因遺伝子を作らせない薬を
開発、それが分子標的薬という薬です。
肺がんの場合ですが、ALK(アルク)融合型遺伝子が
原因の場合、分子標的薬を使うとほとんどの
患者さんのがんが縮小、または消滅をしたのです。
現在世界でも、固形がんにたいして
最も有効な抗がん剤、とも言われている。
そしてこれは飲み薬です。
肺がん治療以外にも期待が持たれています。
他にもALK融合遺伝子が原因のがん、臓器別では
種類がこれだけあります、恐らく一部だと思われる。
つまりALKというがん遺伝子があるので、同じ
分子標的薬で治療が出来てしまうのです。
これからは臓器別ではなく、原因遺伝子別に
治療されるという時代に入ってくるかもしれない。
免疫療法の最新情報
前からあった治療法ですが、本当にこれで治るの?
という懐疑的な見方をされてきた免疫療法。
これまでのがん免疫療法は、体内で免疫細胞を
増やすというのが一般的でした。
しかし免疫細胞が増えても、がん細胞は
免疫細胞の攻撃を止める事が出来るブレーキを
持っているため、がん細胞はなかなか
思うように体内から減っていきませんでした。
免疫細胞の力を発揮するためには、がん細胞の
このブレーキをはずす必要があります。
そこで登場したのが、免疫チェックポイント阻害薬
というお薬なのです。
あらゆるがんに有効だと期待もされています。
私のサイトでも詳しく紹介されている記事がありますので
検索部分に免疫チェックポイントと入力してください。
国立がん研究センターの西川博嘉先生が
免疫チェックポイント阻害薬の効果と課題について
報告がされました。
免疫チェックポイント阻害薬による長期の追跡調査のデータ。
10年使用し、効果があったかなかったかというのを
調べていて、効果があった人はがん患者の2割から3割。
この場合は続けて免疫チェックポイント阻害薬を
投与するという事になります。
一方効果がなかったという方の場合は、新しい
がん免疫療法の開発をしていく、恐らくその間は
既存の対症療法をやっていくことになるかと思われる。
効果があると言っても副作用も出てきます。
効果があった人の1割から2割となっている。
この副作用という部分が、今後の課題となるようです。
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2人の医師のがん治療への取り組み
医療業界でもカーレースが行われている・・・・
車を走らせるのではなくて
『Chimeric Antigen Receptor』
キメラ抗原受容体を用いたがん遺伝子治療
という頭文字を取って、CAR(カー)です。
感染すると、貧血、出血傾向、感染症、発熱
これは白血病の症状です。
注目されているのは、白血病の患者さんから
Tリンパ球を取り出して、遺伝子導入処置をし
遺伝子を増幅、その増幅したところに
レトロウイルスベクターという
遺伝子を注入し、再び患者さんの体内に戻す。
この治療法で驚くべき治療効果が発表され
世界中で開発競争が繰り広げられているのです。
東京大学の医科学研究所の小澤敬也先生が
研究をされています。
いずれもアメリカで実施された臨床試験ですが
このような結果となっています。
寛解、という意味は
『一時的あるいは 継続的に軽減した状態。
または見かけ上消滅した状態』
という意味をさします。
現在日本では、悪性リンパ腫のCAR-T遺伝子治療を実施。
対象は、再発難治性の様々な病型の異細胞性
ホジキンリンパ腫となっている。
年内には、急性リンパ性白血病に対する
治験が始まると言われています。
iPS細胞もがん治療へ使われようとしている
現在は網膜と心筋の再生でiPS細胞は
使われようとしていますが、がんの治療には
どのように使われていくのでしょうか?
山中教授ではなく、がん治療へ応用できるか
というのを中心に進めているのは
金子新准教授です。
現在の研究ではこのようになっている。
免疫細胞を体内から取り出して、iPS細胞を使い
若返った免疫細胞を再び体内に入れて治療をする
という研究です。
きちんとがん細胞を攻撃してくれるのか気になる
所ですが、免疫細胞はがん細胞を攻撃する
という事をきちんとわかっているようです。
若返ったという事は、以前よりもさらに強力な
攻撃をしてがん細胞をやっつけてくれるという事ですね。
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外科手術の最新情報
沈黙の臓器と言われて、静かに進行していく肝臓がん。
転移の可能性も高く、開腹手術が一般的な治療。
腹腔鏡下肝切除、というのも年々増えてきています。
東邦大学医療センター、大森病院。
金子弘真教授が、腹腔鏡下肝切除を初めて
された方です。
肝臓は肋骨の下にあるので、開腹手術となると
かなり大きく切らないといけない。
腹腔鏡手術だと、あまり傷が目立たない。
だけどこの手術をするのに最も必要なのが技術。
肝臓というのは針をさしただけでも出血が多い臓器。
肝臓の中の脈管というのをどうやって見出すか?
など色々な問題点があります。
しかし手術の周辺機器の進歩により、安全に
手術を出来るような体制は整ってきているようです。
近年手術で広がってきているのが、ダヴィンチ手術と
呼ばれる、ロボット支援腹腔鏡手術。
通常の手術とは異なり、医師は遠隔で手術を行う。
この手術の最大のメリットは操作性が高いという事。
機器が細かく動かすことが出来て、拡大された
立体映像も見ることが出来ます。
患者さんへの負担も少なく、術後の機能回復も
比較的早くなるとのこと。
現在、前立腺がんでは保険適用がされているようです。
放射線治療の最新情報
北海道大学病院陽子線治療センターでは
大きな注目を集めています、それは
動体追跡陽子線治療と呼ばれるもの。
呼吸などで臓器が動いた場合でも追跡し
陽子線を照射しがんを退治する治療法
この治療をしているのが、白土 博樹先生です。
治療をするにあたり、まずがんにマーカーを
つけないといけません、その際に金の球をがんの
近くへ入れます。
これで呼吸をしたりしたときなどに、がんの動きが
わかるようになります。
そして動くがんに対して、狙った瞬間に照射をする
という治療法。
全国8施設でこの機器を導入しているようです。
X線と陽子線の違いはというと
X線は体内に入るとエネルギーは徐々に減衰していきますが
陽子線は特定の深さでエネルギーが最大になります。
この特定の深さにがんを合わせると、無駄なく
エネルギーが伝わるという事です。
陽子線の他にも銃粒子線治療というのもありますが
今年の4月から保険適用となりました、一部ではありますが。
それは骨軟部腫瘍という病です。
日本の重粒子線治療は5か所あります
大阪でも重粒子線治療の最新施設が完成しようとしている。
場所は大阪城の向い側にあるようです。
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重粒子線治療の効果とはどうなのか?
骨肉腫のような病気には、通常の放射線治療では
治しきれません。
治療をしても小さくはなるが、それほど効果はない。
重粒子線を使うと、骨肉腫のような治療が
難しい病気でもしっかりと治してくれる事が可能。
重粒子線の治療を受けた人で、骨肉腫が4年で
消失し骨が再生したという事例もあるようです。
他にも、頭頸部ガン、頭蓋底ガン、肺がん
子宮頸がん、前立腺がんにも効果があるとのこと。
がん予防の最新情報
がんにならないためにはどうしたらいいのか?
がんの要因として6項目が挙げられました。
IMSグループ、新松戸中央総合病院の松尾亮太先生は
喫煙に対する強い警鐘を鳴らしました。
禁煙をすることで、がん発症リスクを
3分の2から半分にすることも可能と言われています。
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パネルディスカッション
・分子標的薬の薬剤耐性について
耐性を持つことはあるのですが、その都度耐性の
原因を調べて有効な薬を投与していく。
新たなる有効な薬というのは
限られた種類ではありますが、今後は増えていく
可能性もあるので、耐性に対する
手立ては可能になるとのことです。
・腹腔鏡手術、病院の選び方は?
ありきたりですが、腹腔鏡手術の実績が多い所
現在技術認定制度というのが行われていて
手術のビデオを審査員がより安全に
手術が行われているか等をみて、認定をしていく
というものです、認定率は30%と決して高くない。
この技術認定の資格を有している医者がいるかどうか?
という部分も病院の選び方に入りますね。
・免疫療法の選び方は?
まずどんな治療法にも治験というものが行われます。
第一層から第三層まで、第1は安全性、そして第3は有効性など。
この第三層の有効性の部分で、明らかに
効果があったというのが認められているということが
わかっているのが科学的な証拠となります。
科学的根拠に基づいているのは、日本では
免疫チェックポイント阻害薬となっています。
保険承認されているのかというのもポイントです。
・高額医療費用について
日本の医療費というのは年間40兆円かかっています。
そして日本の税収は40兆円から50兆円となっている。
税収だけで医療費がトントンもしくは少し残る
という事になります。
先人たちが世界にも例がない位の素晴らしい制度を
つくりあげてきました、特に国民皆保険というのは
素晴らしい制度だと個人的には思います。
ですが一般市民全員がこのような国民皆保険制度を
当たり前の事ととらえ、日常の自分の問題として
果たしてとらえているのだろうか?
医療費や税収の事です。
真剣に考えないと最終的に日本の医療というのが
破たんしてしまうと、とんでもないことになります。
国民皆保険だってなくなる可能性だって
現在は秘めている。
病気をしないことにこしたことはないですが、なるべく
医者にかからないで済むような生活、という事も
考えないといけないな、と私は思います。
以上となります。
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