サイエンスゼロ、睡眠はオレキシンがカギを握っている可能性が!

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2015年11月8日放送のサイエンスゼロ、今回の特集は睡眠。
睡眠っていまだに謎が多い部分、レム睡眠とか
ノンレム睡眠とか、夢、などなど・・・・
ですが我々は人生の3分の1を睡眠に使っています。
最近になって、睡眠のメカニズムのようなものが
解明されつつあると言われています。

 

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眠りの世界は謎だらけ

人間はだいたい7時間程度眠っているんですが
動物はというとわけが違います。
・キリン 2時間から3時間
・イルカ 半球睡眠(片方の目を開けて、片方の目を閉じる
 閉じた方は脳が寝ていて、開いている方は脳が起きている)

どういう動物にも睡眠というのはとても重要。

 

眠りをコントロールする物質、オレキシンとは?

筑波大学には睡眠に特化した研究機関があり
研究者を束ねるリーダーは、柳沢正史教授です。

 

20年近く睡眠の謎と戦い続けていて、睡眠のブラックボックスを
開くカギを見つけ出しました、その物質はオレキシンという物質。

 

オレキシンとは、ドーパミンなどと同じ脳内に信号を伝える
神経伝達物質です。
このオレキシンが睡眠に深くかかわっている事がわかったのです。

 

その仕組みは・・・・
オレキシンが分泌されるのは、視床下部と呼ばれる部分
それを細胞レベルまで拡大していくと、神経細胞の間を行き来する
オレキシンがあります、これは、オレキシンが起きろ!
という覚醒の信号を出します。

 

その受け皿がオレキシン受容体と呼ばれるもの、受容体に
オレキシンがはまって、初めて覚醒の信号が脳内に流れます。
オレキシンがカギ、オレキシン受容体が鍵穴の関係ですね。

 

また、脳には覚醒を促す覚醒中枢と睡眠を司る睡眠中枢があります。
オレキシンの分泌が高まると、覚醒中枢が活性化。
覚醒状態が脳全体に広がり、覚醒状態となります。

 

逆にオレキシンの分泌が抑えられると覚醒中枢の活動は抑えられ
睡眠中枢の働きが強まります、これにより眠りが誘導されます。

 

睡眠と覚醒に指示を出すのを決める、これがオレキシンの役割。
多さや少なさ、これで睡眠と覚醒を決める事が出来るわけです。

 

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どうして人は眠るのか?

眠らなければいけないのですが、満足の得られる回答
というのは得られていない状況です。

 

睡眠とはリスキーな状態、考えてみると健康な状態で
意識がないんですからね、外敵から身を守ることすら
睡眠中にはできないわけです。

 

このリスクを補って、あまりある利点というものが
睡眠というものにはきっとあるんでしょうね。
それがなんなのか、というのは説明がまだできないとのこと。

 

オレキシンを発見したのは、睡眠の研究で見つけたのではなく
全くのアクシデントで見つかったそうです。

 

最初は食欲や体重を制御調節する物質だと思っていたそうで
それから食欲や体重以外にも、なにかあるのではないかと
研究をしていたら、覚醒と睡眠に重要な関わりを持っている
という事がわかってきたのです。

 

睡眠・覚醒の深い関係

睡眠と覚醒、この詳細な部分を研究している人がいます。
環境医学研究所の山中章弘教授、光と遺伝学についての
研究をされています。

 

どういう研究をするのかというと
まずマウスで実験をします、神経細胞に光によって反応する
特殊なたんぱく質を組み込みます。

 

その神経細胞にオレンジの光を当てます。
そうすると神経細胞の活動が抑制する事が出来ます。
光によって神経細胞の活動を操作できる
これを、オプトジェネティクスといいます。

 

山中教授は、このオプトジェネティクスを使い
オレキシンを分泌する、オレキシン神経細胞の
働きを調べようとしています。

 

先ほどのマウスに、光ファイバーを取り付けて
オレンジ色の光でオレキシン神経細胞の活動を
コントロールします。

 

光がオフの状態では覚醒していて、活発に動いてますが
光をオンにすると、数秒で筋電図での筋肉の活動量が落ちて
更に数秒後に睡眠の状態へと陥りました。

 

逆にオフにすると数秒後にオレキシン細胞の活動が再開され
直ちにマウスは目覚めました。

 

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オレキシンの発見から次世代の睡眠薬が誕生!

不眠症状を訴える人は、国内で5人に1人います。
そんな中、次世代の睡眠薬、スボレキサントという
睡眠薬が完成しました。

 

従来の睡眠薬は脳の興奮を抑えて、静かな状態にして
睡眠を誘うものなんですが、スボレキサントは
オレキシンの受容体に入り込んで、そこへオレキシンが
入り込まないようにするのです。
そのために自然な眠りが促されるといいます。

 

この研究と同時に、過眠症のナルコレプシーの
治療薬の開発もスタートしています。

 

既にオレキシン受動態作動薬、というものが出来上がっています。
ナルコレプシーとは、今まで普通に話していたのに
急に睡眠状態に陥ったりすることを言います
過眠症という位ですからね。

 

これは覚醒のコントロールがうまくいっていない、つまり
オレキシンの欠乏が原因とされています
オレキシンが足りないと、覚醒状態がキープできません。

 

オレキシンを増やせばいいじゃないかと考えますが
オレキシンを物理的に生み出すというのは、まだできないので
オレキシンの代役を作ることに。

 

オレキシン受容体にピタッとハマリ、オレキシンと
同じような効果を発揮する物質を作る必要があります。

 

4年という月日を費やしてついに、代役が完成しました。
今年9月に新薬のプロトタイプ、YNT185というお薬が完成。
これから臨床試験をされるとのことです。

 

ここまで睡眠についてわかってきたので、これから
トントン拍子にいくのではないか?思われるのですが
これがうまくいかなくて・・・・

 

オレキシンが睡眠と覚醒のスイッチを指示する物質
という所までは、わかったんですが、今度は
オレキシンに指示を与えるのは一体何なのか?
現在これが全く分かっていません。

 

眠気や睡眠量、睡眠の質や体内時計、様々な睡眠に
関わることがありますけど、これらがどうして起こるのか?
というのは現在でもわかっていないとのこと。
これらを調節するのはおそらく遺伝子であろう。
という事位しかわかっていないそうです。

 

眠りの遺伝子大捜査

柳沢教授は睡眠の大元となる睡眠の遺伝子を探すことに
これは世界初のプロジェクト。

 

7000匹のマウスを用意し
睡眠に障害のあるマウスをピックアップしみつけます。
その症状となる遺伝子を探すという途方もない研究です。

 

睡眠に異常のあるマウスを見つけるのに
2年という時間がかかりました。

 

少し太めのマウス、スリーピーと名付けられました。
どうしてスリーピーなのかというと
普通のマウスの睡眠時間よりも、1.5倍も長い睡眠時間だから。
過眠症の状態ですね。

 

詳しく調べると、原因となる遺伝子を発見しました。
人にも同じ睡眠量があると考えられるので
現在も研究が進められています。

 

これから睡眠の遺伝子について調べていく
事になります、これを調べる事で将来的には
人間の最適な睡眠時間、というのがわかるかもしれない
と言われております。

 

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最先端の睡眠医療

眠りに関わる遺伝子のうち、役割がわかっている遺伝子があります。
時計遺伝子です、時計遺伝子というのは地球の自転に合わせて
24時間を刻む体内時計があります。

 

私たちの体を構成するすべての細胞に体内時計が備わっていて
その時計を回しているのが、時計遺伝子です。

 

国立精神・神経医療研究センター、ここでは時計遺伝子と
体内時計について三島部長が中心となり研究をしています。

 

1人1人の体内時計の差が、寝起きのタイミングや
睡眠障害にまで影響することを明らかにしてきました。

 

時計遺伝子は覚醒と睡眠の周期だけでなく
ホルモン分泌や心拍数までも決めています。
三島部長たちは、この時計遺伝子から体内時計の周期を
簡単に測る手法を開発しました
必要なのはわずかな皮膚細胞だけです。

 

この皮膚細胞に蛍が持つ特殊な光る遺伝子を入れます。
すると、時計遺伝子の影響かで光る遺伝子が発光します。
この時計遺伝子が光る量を測ることで体内時計の周期を導けるのです。

 

こうすることで、その方の睡眠障害、リズム障害の原因を
精密に診断することが出来るという事です。
治療法や治療期間、オーダーメイド医療を展開する
事が将来期待出来るという事です。

 

体内時計は年齢によって変わってきて、1時間から2時間
多くて3時間は、10代20代で遅れるそうです。
いくら朝早く起きてても結局夜に寝られない
つまり睡眠不足になってしまい、慢性的な睡眠不足で
脳のパフォーマンスが絶対的に低下する。

 

この対策として、アメリカでは
「スタート・スクール・レイタ―」
という運動がかなり成功していて、それを取り入れた
学校は始業時間を1時間から2時間遅らせる。
そしたら、生徒の平均的な成績が上がったそうです。

 

小学生の場合だと問題はないんですが
高校生の場合、朝早いのは無理があるようで実際は
始業時間を遅らせた方が、脳の効率というのは
いいのではないか?と考えられています。
以上となります、読んでいただきありがとうございました。

 

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