サイエンスゼロ、微生物の薬(イベルメクチン)はどのようにして誕生したのか?

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11月29日放送のサイエンスゼロ、今回はノーベル賞を
受賞した大村智博士が取り組まれている、微生物で
薬を生み出すという特集、どのような取り組みをされて
いるのか、気になったので記事にしてみました。
未来に凄い薬が作られる可能性だってあると思いますし。

 

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微生物から薬が生まれる不思議

イベルメクチンという、微生物から生まれた薬があります。
大村博士が開発に関わったと言われている。

 

アフリカや中南米の風土病で、オルコセルカ症という
感染者の20%は失明すると言われる病、もう一つは
脚などが肥大し歩行困難となる、リンパ系フィラリア症
という2つの病の特効薬と言われています、イベルメクチンは。

 

これらの病気の原因は、ミクロフィラリアという寄生虫。
この寄生虫を駆除する薬がイベルメクチン。
2020年までには病気を撲滅できると言われています。

 

大村博士の地道な努力が実を結んだという事ですね。
以前クローズアップ現代で特集を組まれていましたが
まず公園の土などを袋に入れて、微生物を調べる
という所からスタートしていて、それがこのように
10億人の命を助けるとまで言われる薬を
生み出したんですから、本当に人類にとって
凄い開発をしたんだなと、改めて思います。

 

北里大学は東京港区にあります、貴重なものが
保存されています、それはイベルメクチンの
元となる物質を作り出す微生物があります。

 

それがないとイベルメクチンは
作ることが出来ません、非常に重要なものです。
名前は長く
「ストレプトマイセス・アベルメクチニウス」
という名前です。

 

イベルメクチンはどのようにして作られるのか?
カギとなるのは微生物が持っている酵素
微生物は栄養分を吸収し分裂して
増えていきます、この時に働くのが酵素。
栄養分を分解し化合物を作り出します。

 

この化合物の中には
生育に重要な化合物⇒一時代謝産物
生育に重要ではない化合物⇒二次代謝化合物
という風に分けられます。

 

この二次代謝産物の方には独自の物が多く
これこそが薬の元となっています。

 

実際の実験では、微生物と栄養分を入れて培養。
色はクリーム色のような液体です。
数日後には液体は真っ黒になっていました。

 

この黒いものが、微生物の酵素が栄養分を
分解するなどして作られた化合物。
微生物が活きている証拠ですね。

 

微生物は酵素の宝庫、独自の方法によって
独自の化合物を作り出します。
中でも酵素を多く持っているのが放線菌と呼ばれる菌。

 

先ほどの長いカタカナの名前の微生物、あれも
放線菌の一種と言われています。

 

その微生物が作り出す化合物が、エバーメクチンB1aという物質。
イベルメクチンはこの微生物の遺伝子の一部を変えて誕生。
まさに特別な化合物です。

 

大村さんは1974年に発見をしてから、それ以降は
誰一人として発見できてないんです、大村さんだけの
発見という事ですね。

 

更に一つの微生物が作る化合物って一つとは限りません。
ある実験で、3つの試験管の中には、同じ種類の
放線菌が入っていましたが、この3つそれぞれに
・コーンスターチ
・きな粉
・小麦胚芽
を入れて数日培養すると3つそれぞれ色が違うんです。
食べさせる栄養分を変えるだけで、働く酵素が変わり
千差万別の化合物が出来るという事なんです。

 

微生物の作る化合物が効くメカニズムって?

微生物が作り出す化合物は、他の生物にどのように
作用するのか?
実は、細菌に効く化合物と、寄生虫に効く化合物とでは
そのメカニズムは異なる。

 

例えば黄色ブドウ球菌、炎症を引き起こす物質です。
化合物はどう働くのか?

 

ろ紙に微生物を浸け、黄色ブドウ球菌のある部分に
置くて培養します、すると黄色ブドウ球菌の増殖を
抑えるという結果に。
なぜ増殖を抑えられたのか?
βラクタム系という化合物が抑えていると言われています。

 

βラクタム系の遺伝子記号と細胞壁を作る化合物の
遺伝子記号はとても似ています。

 

βラクタム系の化合物を投与すると、細胞壁を作る化合物が
ブロックされ細胞壁を作ることが出来なくなてしまうのです。
その結果、最近は増殖することが出来ません。

 

世界最初の抗生物質であるペニシリン、これもβラクタム系の
化合物でした、一方の大村博士が開発に尽力した
イベルメクチンは、βラクタム系ではなく
細菌には効きません、ところが寄生虫に与えると
徐々に寄生虫の動きは弱ってきます。
イベルメクチンが寄生虫にダメージを与えている証拠ですね。

 

寄生虫に対して効果を発揮するメカニズムはどういう
ものなのでしょうか?

 

舞台は人の神経系の話へ。
寄生虫は神経の信号を伝達する際、神経細胞から
神経伝達物質を送っています。
その際カギとなるのが、神経細胞の周囲にある
イオンです。

 

正常な神経伝達の場合、細胞から神経伝達物質が送られると
イオンの通り道が開き、入ってくるイオンの電気刺激を受け
神経伝達が行われます。

 

このイオンの通り道を拡大したら、神経伝達物質を受ける
先の方はらせん構造となっています、イベルメクチンの大きく
複雑な分子構造は、このらせん構造の間にぴったりはまり
神経細胞に食い込むため、イオンの通り道が開いたまま
固定されているのです。

 

すると細胞内はイオンで満たされ、正常な神経伝達が
行われなくなります。
すると寄生虫は神経にマヒが起こりやがて死滅します。
こうしてイベルメクチンは寄生虫の特効薬となりました。
寄生虫はやっつけてくれて、人間には副作用もない。
素晴らしいお薬ですね。

 

当時の大村博士の研究のノートが現れたのですが・・・
緻密、とても緻密に調べられていました。
文章で起こすにはかなり大変なので割愛させていただきます。
様々なアプローチをかけて研究をしていました。

 

現在大村博士が研究で発見した有用な化合物は25種類あります。
抗菌、抗寄生虫、抗ガン、酵素阻害、脂質代謝に
有用だという化合物という事ですね。
しかもすべて、βラクタム系の化合物ではないんです・・・

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化合物が出来る仕組み

大村博士は、化合物のゲノム解析をはじめました。
もし、一つの微生物が持つ遺伝情報が全てわかれば
その微生物がどんな化合物を作る能力があるか
わかるのではないか?そう考えた大村博士は
前出のあの長いカタカナの名前の遺伝子すべてを
解読することを始めました。

 

塩基対という記号をすべて明らかにするという事を
やっていくんです。

 

ゲノムというのは遺伝子すべてを指します、これを全て
調べるというんです、なんとその数900万個。

 

もちろん調べるのには困難を極めました、2年半にも及び
全ゲノムの解析が終了し、その年のネイチャー
科学雑誌ですね、ここに論文が登場すると
大きな衝撃を与えたそうです。

 

ゲノムを解析したことによって、エバーメクチンが主に
4つの酵素の働きによって生まれていたという事が
明らかになりました、しかし更なる衝撃が・・・

 

この微生物は5種類の二次代謝産物を生み出すと言われて
いましたが、全部解析したことで、なんと
30種類以上の二次代謝産物を生み出す能力がある
という事がわかったんです。

 

ストレプトマイセス・アベルメクチニウス全体の
1割ほどにすぎず、残りの9割の部分に
新たな物質をを生み出す能力があることが証明されたのです。
現在ゲノム解析はかかせないこととなっています。
奇跡の薬という表現がありましたが、あながち間違い
ではないと思ってしまいます。
以上となります、読んでいただきありがとうございました。

 

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