NHKスペシャル、プレシジョンメディシンで遺伝子変異を調べ分子標的薬で治療をする

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NHKスペシャルがん治療革命、プレシジョンメディシンで遺伝子変異を調べ分子標的薬で治療をする
2016年11月20日放送のNHKスペシャル、今回は
がん治療革命、プレシジョンメディシン(精密医療)の特集。
日本人の2人に1人がガンを患うと言われ増加の一途を
辿っています、治療法も多様化し色々な治療が出回っている。
そこに新たな治療革命が起きようとしています。

 

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がん治療革命が始まりつつある

これから数名のがん患者さんの症例を紹介していきます
最初に48歳の男性、進行した大腸がんを患っている
現在はジョギングなどをして体力をつけている
職場の同僚からはとてもガンがあるという人には
見えないと言われているくらいに元気です。

 

22歳の時に大腸がんを患い、そして5回の手術と
抗がん剤治療を繰り返していて、今回リンパ節に
転移が確認されたので手術は出来ないと医師に言われ
今回の臨床試験への誘いがありました。

 

男性が使っている薬は
・免疫チェックポイント阻害剤
・分子標的薬

この2つを投与しています。

 

臨床試験を始めて2か月後に検査を受け結果を聞くと
がん細胞の大きさがなんと43%もへっていたのです。

 

次に48歳の女性、進行性肺がんを患っています
ステージ4で手術は出来ないと言われました
肺がんの大きさは68㎜

 

4種類の抗がん剤を投与しても効果は得られなかった
治療を受け9ヶ月後、医師のすすめで遺伝子検査をすると
RET遺伝子が変異を起こしていることがわかりました。

 

しかしRET遺伝子に適した分子標的薬がありません
そこで甲状腺がんの分子標的薬を処方されました
既に甲状腺がんでも遺伝子変異のRET遺伝子が見つかったので
ひょっとしたらこの分子標的薬は効くのではないか?
という事で臨床試験が始まりました、すると1ケ月で
ガンの大きさが68㎜から43㎜になり、更に1ヶ月後には
小さくなっていきました
おかげで余命2年を過ぎて現在5年目を迎えています。

 

ここでポイントとなるのが、プレシジョンメディシン
いわゆる精密治療
というものなのです
がん患者の遺伝子解析をしそれにあう薬を選択するというもの。

 

臨床試験を進めているのはスクラムジャパンプロジェクト

スクラムジャパンといって、大規模プロジェクトの
名称ですが全国235の病院と15の製薬会社が協力し
臨床試験に取り組んでいます。

 

対象は進行した肺がんや大腸がんの患者
従来の抗がん剤の治療では十分な効果が得られなかった人

治療を行っています。

 

臨床試験の相談をしたい場合は、スクラムジャパンに
参加している病院へ行くようにしましょう。
スクラムジャパン

 

臨床試験に参加しようとしている69歳男性
進行性の肺がんを患い、転移もあり手術は出来ない
抗がん剤治療も効果が上がらなかった
今年の8月には新たに肝臓への転移が見つかりました
そこで臨床試験を行う事に。

 

臨床試験を行う前に生検でがん細胞を取り出す
それから遺伝子検査会社に輸送し、次世代シーケンサーという
機械を使い遺伝子を調べていきます。

 

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適切ながん治療を受けるために必要な遺伝子検査

がん細胞はもとは正常だった細胞に異変が起きる事で生まれる
その元となるのが遺伝子に傷がつく、遺伝子変異というもの。

 

人間の細胞には2万余りの遺伝子があります、その際
肺がんの場合ですが
・EGFR
・ALK
・ROS1
・MET

という遺伝子に傷がつくことで肺がんになるという事が
わかってきています。

 

実はどの遺伝子変異が、がんの原因となっているのかは
患者によって異なり、こうした遺伝子変異は
それぞれタイプの異なる異常なたんぱく質を作ります

 

この異常なたんぱく質というのががん細胞を増殖させる犯人です
この働きを抑えるのが分子標的薬という薬なのです
異常なたんぱく質にくっついて働きを抑えます
このような治療をプレシジョンメディシンといわれる
遺伝子検査は少々時間がかかるようです。

 

従来では臓器別の治療で薬を投与することが当たり前だったのが
今後は遺伝子変異を調べそれに合う治療を
行っている事が当たり前になってくるとのこと
より長く生きることができるようになってくる。

 

治療の有効性が予測しやすいという事でもありますよね
がん治療の考え方が根本から変わった感じ、しかしがん治療の
第一選択肢は手術であるという事は現在の医療では変わらない。

 

違いがあるとすれば、これまでの抗がん剤では
使ってみないと効果がわからない、そして副作用が大きい
しかしプレシジョンメディシンの分子標的薬の場合は
副作用が少なくなり、余命を延ばすことができる
しかし頻度は高くないがまれに重篤な副作用が出る事はある。

 

がん検診自体も遺伝子を調べる事で、将来こういうがんに
なる可能性があるという所まではわかるように
なりつつあります、しかも簡単に検査する事ができます。
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遺伝子解析をしてもわからない場合もあります

最も研究が進んでいる
肺がんの原因となる遺伝子変異はこうなっています
dsc_1869
EGFRとALKにはすでに保険適用の薬があります、しかし
オレンジの欄の所の遺伝子変異の場合は、有効な薬はあるが
まだ臨床試験段階、残り2割の不明の欄の所は
遺伝子変異の特定ができていないため薬がありません。
これはがんの遺伝子変異を特定することが容易ではない
という事がわかります。

 

ガンに関わる複数の遺伝子変異が同時に起きていて
どれが直接の原因なのか特定するのが難しい場合があるからです。

 

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プレシジョンメディシンはまだまだ費用が高額の治療

ただ検査費用がとても高い、保険適用ではないため
検査だけでも40万円から100万円もかかる。

 

子宮体がんを患った58歳女性が使っていたのは、乳がんや
腎臓がんの薬、子宮体がんに使うときは保険がきかないため
毎月の薬代は90万円もかかっています。

 

これだとお金がかかりすぎて
お金が尽きてしまうとそこで治療が終わってしまう
これは早く国が制度を作る必要がありますね。

 

アメリカでのプレシジョンメディシンはどうなのか?

アメリカではすでに全土に広まっています
プレシジョンメディシンを行っている会社では年間4万人の
がん細胞が届き、検査をしてから
遺伝子変異、承認薬、他の臓器の承認薬や
臨床試験ができるかどうかなど詳細な情報を
担当医に伝えるサービスを行っています。

 

拠点となるがん専門病院ではデータの蓄積に力を入れている
ガンの新しい遺伝子変異を見つけたり、新たな治療法に
つなげたりしています。

 

膨大なデータとなっていく事で、これまで治療を受けられなかった
患者さんにとっては希望の光となります。

 

アメリカのジャズシンガーの女性は、グリオブラストーマという
脳腫瘍の一種のがんを患っています、有効な治療法はありませんでした。
そこで遺伝子検査をしたら、BRAFという遺伝子に傷があることがわかった。

 

そこで同じBRAFの遺伝子が関係するメラノーマの分子標的薬を
服用すると、この薬が効き2年経ってもがんが縮小したままの状態を
保つことができています。

 

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更に次世代のプレシジョンメディシンが動き出している

アメリカのある病院では、プレシジョンメディシンと人工知能を
融合させました、IBMが開発したワトソンという人工知能。

 

この2年で驚くべき成果を出すことに成功、それは
ガンの原因となる遺伝子変異を見つけられなかった患者の
3割に遺伝子変異を見つけ出したのです。

 

ワトソンが成果を上げたのは、通常の遺伝子解析でガンの原因となる
遺伝子変異が特定できなかった患者の治療
です。

 

上記の円グラフの所に不明、その他という欄がありましたよね?
あの部分の遺伝子変異の特定ができたという事。

 

一方で年間10数万件発表されるがんの論文の中には
遺伝子変異の特徴やどの薬がどの遺伝子変異に効果があるかなど
新たな情報が記されています。

 

そこでワトソンに1300万件以上の論文を学習させました
そのうえで、遺伝子変異が特定できなかった患者のデータを
読み込ませました、すると先に学習した論文と照らし合わせて
最も可能性が高い遺伝子変異を特定、更に最適な薬も選び出した
のです。

 

膀胱がんの患者のデータを調べたときに、ワトソンはPTCH1という
膀胱がんではまれな遺伝子変異が原因であるという事を
見つけ出し、その変異に対する薬も同時に探し出した。

 

ビッグデータは非常に複雑で人間が答えを導くのには
限界があります、論文を読める数も限られますしね
こういう時にワトソンは人間では対処できない問題に
答えを出してくれる。

 

このようにアメリカはプレシジョンメディシンを推し進めている
その背景にはこういう事があります。
膨らみ続ける医療費の抑制

 

日本でも大きな問題となっていますよね、分子標的薬や
免疫チェックポイント阻害剤など、新しい薬は非常に高額です
例えば免疫チェックポイント阻害剤のニボルマブ、通称オプシーボですが
これなんてアメリカでは1人あたり年間1600万円もします!

 

日本ではオプシーボ(ニボルマブ)は2017年の2月から半額への
値下げが決定しております。

 

しかし予め遺伝子変異を見つけ出し、それに合う薬を投与することで
効果のある患者だけ、そして効果のある薬だけを使えるので
従来の抗がん剤のように、投与したはいいが大した効果がなかった
という事になることはあまりないという事が言えます。

 

従来の抗がん剤治療だと、やりました、しかし効果はなかった
という事でもお金を払い続ける必要があったわけですから。

 

今後プレシジョンメディシンが浸透してくれば
効果が期待できない薬は使わずに済む、ということは
無駄な治療薬への費用も減ることが期待されている。

 

遺伝子検査を受けた進行性肺がんの69歳男性の話に戻ります

遺伝子検査の結果がわかりました
残念ながら薬が存在する遺伝子変異はみつからなかった。

 

結果的に治療薬はない状態でしたが、この場合の
心の落ち込みというのはかなり大きいものです
北大病院では、このような心のケアを行っている。

 

というのも遺伝子変異の検査をした時に
その時は治療ができなかったが、数か月たったら
新しい分子標的薬が承認され治療ができるようになった

という事もあるためです。

 

遺伝子変異の検査で適応薬が見つからなかったとしても
まだ治療は終わりではないという事です。

 

新薬の承認のペースですが、日本は遅いですよね
この分野に関しては、もう少し早くなればいいのですが・・・

 

69歳の男性はその後、新しい抗がん剤の臨床試験を
することに、その間に新しい分子標的薬の登場を待ちます

 

あと分子標的薬といってもこれがずっと効き続ける
という事はなく、新たな治療薬に変更することもある
上記で紹介した48歳の女性は、治療は順調に進んでいたが
ある時の検査で、心臓のそばのリンパ節に転移が見つかった
しかしRET遺伝子には他にも治療薬があるので
新しい治療薬に変更をすることになりました。

 

がん治療はまだまだ発展途上ですし、今後も新しい治療法が
出てくることでしょう、がんは死を招く重大な病という事が
少しでも変わるようになればと思います。

 

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