2016年9月19日放送のNHKスペシャル、今回は
『健康格差』
についての特集、今後間違いなく問題になる
事だと思います。
所得や住まい、病気の具合など色々な事を
加味すると、より良い治療を受けられる人
受けられない人という2極化が起こってしまい
治療をしたくてもできないという
事態も起こってくる可能性があります。
その場合どうすればいいのか?
まず自分の健康は自分で守るという意識が必要です。
目次
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既に健康格差は始まっている
杉並区と足立区でも、健康寿命は2歳も差がついていて
全国の健康寿命に目を向けると1位は男女とも山梨ですが
男性最下位は徳島、女性の最下位は大阪でどちらも3歳以上の差が出ている。
違いは住まいにとどまらず雇用形態でも健康格差はみられ
例えば糖尿病の合併症である網膜症という病があるのですが
これだけをとっても、非正規雇用は正社員の1.5倍
悪化すると言われている。
ここに歯止めをかけようとして、自治体が色々な
取り組みをしています、そしてこの取り組みが全国に
波及しうまくいくと経済の面では5兆円も
変わってくると言われています
正に一人一人の意識が必要なところまで来ている。
健康格差の実態とは?
金沢市で内科医をされている莇先生、数年前にそれまで経験
したことのない患者を立て続けに診察。
2型糖尿病の口腔内の異常が若い20代の患者に見つかったのです。
2型糖尿病は生活習慣が関わる糖尿病で通常なら
これは通常40代以上の病気。
20代の患者さんが立て続けに診察に来る・・・・
莇先生は何かおかしいと思いました、そこで
全国96の病院にリサーチをかけました。
20代と30代の2型糖尿病患者、という事にフォーカスし
職業や生活実態を調べるとあることがわかったのです。
結果上記でも先に出しましたが正社員と非正規雇用では
糖尿病の合併症である網膜症の悪化が非正規雇用の方が
1.5倍もアップしていたのです。
莇先生の患者の1人で47歳の女性の方がいらっしゃいます
非正規雇用で15年間働いた人です。
30代で糖尿病を発症、最近では筋力も低下してしまい
歩くことも一苦労という状況になっていて
腎臓も悪くし、数か月後には人工透析も視野に入っている。
現在の生活は横になるか座ってぼーっとしているか
悪くはなってもよくなることはないと。
以前仕事は工場での検品をされていた、職場を転々としながら
働いてきて、仕事の時間は不規則で独り暮らしでした。
当然食事は自炊というわけにもいかず、買ってきたお弁当で
すますことが多かったそうです。
雇用形態が短期的な事もあり定期的な検査もする事もなく
乱れた食生活を注意されることもありませんでした。
仕事の不安定さからストレスを感じていました、そうした生活を
続けることで36歳の時に糖尿病を発症し、41歳の時に
合併症を起こしてしまいました。
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なぜ非正規だと悪化する人が多いのか?
原因ははっきりとわかっていないのですが
莇先生は
・健康診断の受けづらさ
・雇用の不安定さ
等の複数の問題が考えられている。
通院することで仕事を休まられると、非正規雇用の場合だと
変わりになる人材はいくらでもいるので最悪解雇という事になる
これは正社員でもありえないことではないですが
非正規雇用の人とはちょっと違いはあります。
糖尿病だけが健康格差を広げているわけではない
経済力の違いによる健康格差は糖尿病以外にも
低所得者の精神疾患は高所得者の相対リスクの3.4倍
肥満や脳卒中でも相対リスクは1.5倍、骨粗しょう症も約1.5倍。
番組で取り上げられた71歳の男性も、60代で骨粗しょう症を患い
背骨を圧迫骨折している、主治医の増山さんの見解では
『低所得者は限られたお金の中で生活をするとなると
食費を削ったりして、カルシウムやビタミンを摂取する事が
少なくなり炭水化物の摂取が多くなる』
確かにうなずけることでもあります、例えばスーパーの総菜売り場などを
歩いてみると夜遅くに行くと半額で販売されている
お総菜は炭水化物を多く含んだお弁当や、揚げ物が多く陳列されている。
お野菜などはあんまり陳列されていませんね。
低所得者で仕事が忙しく時間がない場合、どうしても
このようなやすいお弁当を手に取る人が多い印象も見受けられる。
実際に私もスーパーで半額のコーナーを歩くと目にすることが多い。
(そこにいる人たちが低所得者であるとは限りませんがね)
ある調査でも、低所得者の場合
米やパンの摂取量が増え、野菜や肉の摂取量が減るという
データも出ているくらいです。
背骨を骨折した男性の食生活は1日2食、おかずは1品程度で
缶詰などを食べていたそうです。
この食生活を長期間続けてきた結果が骨粗しょう症という事でしょうか。
また所得階層別の野菜摂取量は
年収200万円未満だと254gで、年収600万円以上は322gというデータも。
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子供にも影響が出始めている
この影響は子どもにもあり、経済的にもゆとりがある
家では、野菜やお肉などバランスよく摂取する
傾向があるのですが、低所得の家の場合お菓子やパンなどを
食べる事が多いことで肥満と虫歯のリスクも増えてしまう。
番組のスタジオトークでは、NPOの方がいらしてましたが
年間500件、NPOに相談に来られるが、持病を抱えていない人が
ほとんどいないという衝撃的な話でした。
これは自己責任で何とかするという問題では
なくなってきている状況だといいます。
WHOもこのことには、重要な項目としていて
世界的にも健康格差は広がっているといいます。
しかし世間では
・健康に対する意識が低い
・不摂生だから病気になる
という声が、アンケートでは聞かれます。
スタジオの声でも、半分近くは上記の意見が聞かれました。
非正規雇用の人たちもスタジオにいらして
・食事を作る時間がない
・自炊を諦め睡眠を優先し身体を壊した
という声がありました。
健康格差の問題は、社会問題か自己責任か?
テレビの生アンケートでは、57%が社会問題で
43%が自己責任という結果となりました
ん~半々に近いですよね。
住んでいる場所によって生まれる健康格差
今年の6月、国立がん研究センターが衝撃的な結果が出ました
全国のがんの罹患率のモニタリング集計で
食道がんは秋田県が多い最下位は滋賀県、これはお酒の量の関連が強い
胃がんも秋田県がトップで最下位が沖縄県、なんと3倍以上も違いがある。
胃がんになる要因の一つに塩分の多い食事と言われていて
秋田県は全国平均の塩分摂取量を上回っている
秋田県でも減塩の取り組みをされているが効果はいまいち。
秋田県に住まわれている78歳の男性は9年前に
胃がんを患いました、治療を受けましたが塩辛い食事は治っていません
奥さんは半ば諦め気味に治らないだろうなとおっしゃっていました。
減塩メニューというのも、コンビニや企業でも取り組みをされています
しかし味の濃い人たちが食べてしまうと薄味だといいあまりおいしく
食べている印象がなかったですね。
恐らく舌の矯正がかなり難しいことだと思います
スーパーでも薄味の料理は売れないと言われている。
このままでは将来、2020年には介護と医療費が60兆円
2025年には73兆円にまで膨れ上がると推計されてます。
ちなみにこれは我々の支払う税金で賄われることになる。
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健康格差をなくしていくためには?
この健康格差をなくそうと取り組んだ国があります
それはイギリス、2003年から国を挙げて取り組みを開始し
2011年には、2003年と比べ
脳卒中と虚血性心疾患(心筋梗塞など)の死亡者数が
なんと4割以上減らすことが出来たのです!
上記の疾患は比較的低所得者に多い疾患と言われている。
一体どんな取り組みをしたのでしょうか?
まず目を付けた所があり、それは塩です。
摂取しすぎは高血圧や心疾患のリスクアップとなるため
イギリス政府はこれを減らそうと考えました。
ある取り組みをした結果、2003年から2011年までに塩分摂取を
15%も減らすことに成功したのです。
このプロジェクトの中心となったのがイギリス食品基準庁
85の食品に対して各メーカーに塩分を減らすよう指導をした。
中でも大きなターゲットとなったのが主食であるパンです
海外はパンが主食でありますからね。
しかし多くのメーカーは塩を減らすと買ってもらえない
とかなり反発をしたそうです、そこで医学と健康問題に取り組む
CASHという団体は、食品メーカーにこういう提案をした、それは
『ゆっくり塩分を下げよう』
という提案をしたのです、それはまたどうしてか?
人の舌は減塩に慣れていく!?
実は興味深い研究があり、それはなにかというと
男女混合の2つのグループを作り6週間パンを食べてもらった。
その2グループは
・通常のパンを食べるグループ
・毎週5%ずつ段階的に減塩し最終的には25%の減塩をするグループ
この実験に参加した方たちは、パンの話はしないで始めました。
6週間後にパンの味に変化はあったか尋ねると
2グループとも味は変わらないという回答を得られました。
つまり、たった6週間でも人間は薄味に慣れる
という事がわかったのです。
CASHはこの実験を各食品メーカーに提案したところ
それなら・・・という事で減塩プロジェクトは動きだしました。
結果は、7年かけて段階的に減塩をしていき
20%も減塩することに成功したのです!
すると年間の医療費が2000億円も削減できた!
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東京都足立区の取り組み
東京都内で平均収入も23区内で一番低く、糖尿病も多く
そして健康寿命も都内で一番低い。
足立区は色々と健康に関するプロモーションを
試みましたがどれもうまくはいきませんでした。
そこで足立区は新たな方法を考えた。
名付けて
『健康への意識が低くてもいつの間にか健康になれる作戦』
まず足立区職員がやったことは飲食店へ赴き
ある依頼をするようにしました、それは飲食店で料理を注文したら
野菜を先に出すようにしてもらったのです。
どういう事かというと、注文時に肉や野菜とオーダーがあると
最初に出すのは野菜から、という事を飲食店の人たちにしてもらった。
こうする理由は、野菜を先に食べる事によって
血糖値の上昇を抑えることが出来るため、先に
炭水化物を摂取してしまうと血糖値上昇が早い。
スーパーでも惣菜コーナーで、揚げ物をパックに
入れると揚げ物の上に野菜をかなり盛って
お客さんに揚げ物をお渡ししていました
これもいい取り組みですよね。
そして子供たちにも足立区は目を向けました
子供の時に野菜を食べる事は大事、という事を植え付けていく
野菜をあまり食べずに育ち大人になってから野菜を食べろと
言われてもなかなか食べられない
もう一つ、親が野菜を食べる事の重要性を理解していない場合もある。
しかし子供の時に、このように野菜を食べるという
意識を植え付けていくことで自宅でも野菜を食べる事が多くなる。
また面白い取り組みもされていて、パチンコ屋さんの
所で簡単な健康診断が出来るという取り組みもありました
若い女性のナースのコスチュームを着用すると
かなり検診率があがったそうです。
健康格差を撃退するためには
・野菜不足は、冷凍野菜で補ったり乾燥キクラゲで
ビタミンと食物繊維を摂取しよう
・減塩 たれや粉末は半分に減らしてみる
・万病の元を断つ 歯磨きを丁寧にする
高齢者の健康格差をなくそう
特に所得による健康寿命の違い、要介護認定は
低所得の方が要介護の割合が高く高所得者と比べ2倍も違います。
また所得が低いほど外へ出かけません
そうすることで身体機能や気力が低下していきます。
この分野の研究をしているイチローカワチ先生は
社会参加が一番の健康を保つ要因
これを推奨されています。
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愛知県の武豊町で取り組まれている健康格差の縮小作戦!
どのような健康格差の縮小をしたのかというと
10年前に始めた憩いのサロン、参加費は100円です
お話をしたり体操をしたりして、健康を促進させるお得な場所。
年間のべ12000人の方が参加されています
しかも驚いたのが、要介護リスク者の参加率が高いのも特徴。
どうしてこんなにも集まるのでしょうか?
以前は要介護者の人たちに健康セミナーに
参加してほしいと要請しても、まったく行く気には
ならなかったそうです
後は自分はまだまだ大丈夫だ!という思わぬ反発も。
あなた、もう少しで要介護者になるからおいでよ!って
言われてもさすがに気分が悪く、いく気にもなりませんよね。
そこで考えを変えてみました、まず憩いのサロンを
複数配置するようにしました、ポイントは近くにたくさん作る。
高齢者の多い地域に重点的に作り、ほとんどの人が
徒歩15分で憩いのサロンに行けるようにしたのです。
次に取り組んだのがきっかけづくり
比較的元気な高齢者には、ボランティアとして憩いのサロンで
お手伝いをしてもらい、少しでも参加しやすい雰囲気を作るようにしました。
武豊町のサロン事業費は年間630万円かかりましたが
将来的にかかる介護費用は年間1500万円抑えられると試算。
これはかなり自治体には助かる事ですね。
また孤独死の問題も減少する可能性も秘めています
仮に憩いサロンに居なくて、あれ?〇〇さんどうしたのかな?
ってなりますからね。
アイディアを駆使すると、これだけの変化をもたらす
事が出来るんですね、これが全国に広がっていけばと思う
このような取り組みを、ソーシャル・キャピタルといいます。
ソーシャルキャピタルというのは、人のつながりが生む力
困った時には助け合うという事を意味する。
ソーシャルキャピタルへの意識が低い所では、健康状態が
悪く感じられ、意識が高い所では健康状態が良いと感じられる
という考えもある位です。
どうしてこのようになるのかというと、カワチ先生の話では
人と話をするとき、何気なく自然に体を動かし
食生活を気にかけてもらえたり、医療機関の情報などを
その場でシェアすることが出来る、集まる人数が多ければ
多いほどそのシェアも拡大するという事、現代の
ツイッターやフェイスブックも似たような部分がありますよね
以上となります。
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