クローズアップ現代、大隅良典氏の研究しているオートファジーとは?

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2016年10月4日放送のクローズアップ現代
今回はノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典さんの
研究しているオートファジーについての特集
しかもご本人生出演です。

 

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大隅さんが研究しているオートファジーとは?

大隅さんの手元にビールが運ばれてきました、このビールの中に
大発見のヒントがあったのです、それは何かというと
『出芽酵母』
大隅氏の大半の研究で見つめられてきたもので、なにかというと
アルコール発酵に欠かせない微生物です。

 

姿はかけ離れているが人の細胞に近い構造を持っている
ある日酵母を顕微鏡で観察していると、酵母の中の液胞という部分に
丸い粒のようなものを見つけた
のです。

 

人の細胞も核があり、小胞体がありミトコンドリアもある
核の中にはDNAがあり、そこにメッセンジャーRNAが来て
情報を読み取る、そして情報を読み取って核から出ていき
その情報を元にアミノ酸を作り始めます。

 

たくさん作って繋がっていくとタンパク質になる
この出来上がったタンパク質をセントラルドグマという
このように細胞の中にはたんパク質がいっぱいあり、それが
色々なところで働いて生命活動を支えている。

 

電子顕微鏡の話に戻ります
電子顕微鏡で詳しく見ると、液胞の外にある成分と同じものでした
大隅さんがみていたのがオートファジーだったのです。

 

オートファジーは自食作用と略されます、細胞が栄養不足の
状態などに陥った時、自らの一部を膜で包み込んで液胞に運ぶ
そしてアミノ酸などに分解、必要なたんぱく質に作り替えます

 

いわば細胞が自らをリサイクルして生きながらえる仕組みです
当時細胞が自らの一部を再利用しているのは予測されていたが
それを研究する人はいませんでした。

 

大隅さんは研究に没頭していき、色々なことがわかるように
なっていきました、人間だけではなく虫や花、動物など
生命の維持には欠かせない働き、そして細胞内の不要なたんぱく質や
病原菌などを除去する働きもわかってきました

 

医療の分野でも注目されています
アルツハイマー、糖尿病など様々な病気に
関わっているとして研究が重ねられ治療や予防への
応用を模索しています。

 

アメリカではがん治療への応用も始まっている
がん細胞のオートファジーを妨げる薬を投与する臨床試験では
腫瘍が縮小したケースも表れている。

 

オートファジーとパーキンソン病の関係

パーキンソン病というのは、脳の神経伝達物質が
うまく伝達できないために、手足が震えたりする病です。
高齢者になると数百人に1人の割合で発症するとのこと。

 

その原因としてミトコンドリアが関係しているといいます
ミトコンドリアはエネルギーを生み出す細胞
しかしエネルギーを作る際、活性酸素も一緒に作ってしまう
不良ミトコンドリアというのがあります。

 

これが細胞をダメにしてしまう、この不良ミトコンドリアを
特定することが今までは難しかったのですが
最近の研究でそれが少しわかってきたのです。

 

まずオートファジーに関係しているパーキンというたんぱく質
このパーキンが不良ミトコンドリアに対してどう働いているのかを
見てみることに、そこでわざとミトコンドリアの働きを悪くする
液体をかけると、パーキンはそのミトコンドリアにくっついていったのです。

 

さらに調べていくとパーキンがミトコンドリアに集まるようにするため
もう一つタンパク質が必要となってきた、それがPINK1というたんぱく質。

 

こうして不良ミトコンドリアをオートファジーでやっつける
仕組みが考えられたのですが
まず不良ミトコンドリアの周りにPINK1が付着、そこで
パーキンを呼びリン酸を渡します、そしたらパーキンは力を
えられたので、ミトコンドリアが不良になっているのを
知らせることは出来ないかを考えます。

 

そこで見つけたのがユビキチンというたんぱく質、そこに
PINK1がユビキチンを目立つようにするためリン酸を付ける
それをいくつもつけていき、不良ミトコンドリアに
高く積み上げていく、するとそれにオートファジーが気づいて
膜を作り不良ミトコンドリアを分解するのです。

 

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大隅さんはへそ曲がり!?

5年前に高校で講演を行った際、後輩たちに伝えた研究者に
大切な4つの理念を伝えました。
・自分の目で確かめよう
・はやりを追うのはやめよう
・小さな発見を大切にしよう
・様々な面からじっくり考えよう

という理念です。

 

高校の時科学部の部長をされていたそうです、当時の
仲間たちが集まり大隅さんの事を伺うと
頭がよくて人気者だったそうです
そして当時からはやりものは追わなかったとのこと。

 

オートファジーの共同執筆の1人である馬場美鈴さんも
大隅さんと一緒に来る日も来る日の電子顕微鏡を見ながら
小さな発見をしていきました、それの積み重ねで
オートファジーを見つけることが出来たのです。

 

大隅さんを含め歴代のノーベル賞受賞者が危惧する事

ノーベル賞の国籍別受賞者数は2000年以降では世界2位と
なっているのですが、博士課程の進学率は1993年の時は
15.2%だったのに対し、2013年は8.9%に下がっているのです
発表される論文の数も減ってきている。

 

・梶田隆章さん
80年代から90年代にみんなが伸び伸びと
研究をした成果が現在出ている
多くの基礎科学研究は、短期で明確な答えが
出るものではない、時間がかかる研究
それを許すような社会が望ましい

 

・根岸英一さん
基礎研究で結果を出すためにはサポートを
欠かせないことが重要と指摘する
今はノーベル賞を取っているが、これがいつまで
続くかはわからない、今のノーベル賞の波は
ひょっとしたら30年、40年前に発しているもので
学会などの中でも、研究体制をしっかりやっていく
必要があると思う。

 

・山中慎一さん
基礎研究を続けるには長期的な視野が必要
いま日本の科学というのは、すぐに役に立つものに
すごく目がいって基礎研究が少し軽視されている
傾向があると危惧している
科学というのは真実を明らかにするという事が
本来の意味でその結果、役に立つと
どちらかというと2次的なもの
根本は真理を追求する
そこからブレイクスルーが生まれる
なので基礎研究は大切にしてほしい。

 

大隅さんも、科学と技術は別物で
これらの研究が活かされてくるのは取り組んでから
数十年後であるし、その科学が日本を
支えることもある、たくさんの人に知ってもらい
社会がサポートできる体制ができればいいと
おっしゃっていました。

 

役に立つは人をダメにする、このようなことを
大隅さんはおっしゃっていましたが
世の中本当に便利になりましたが、それだけ
考えて取り組む、という事を忘れていくという
事にもつながっていく気がしてならない部分もあります。

 

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