サイエンスゼロ、ヒストンH1foo+山中ファクター=スーパーiPS細胞?iPS細胞生誕10年特集

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サイエンスゼロ、ヒストンH1foo+山中ファクター=スーパーiPS細胞?iPS細胞生誕10年特集
2017年2月5日放送のサイエンスゼロ、今回は
IPS細胞が誕生してから10年が経過し
現在どのような事が行われているかの特集です。

 

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スーパーiPS細胞とは?決め手はH1foo

iPS細胞の医療応用に向けた研究をしている医療機関です

京都でばかり研究をしているのかと思ったら
様々な所でも研究は進められているのですね。

 

ここでiPS細胞の作り方ですが、簡単にいうと
自分の血液を抽出し、そこへ山中ファクターと呼ばれる
遺伝子をあわせ、時間が巻き戻り初期化されて
3週間ほどでiPS細胞が出来上がります。

 

これが脳になったり、骨になったりしていくのです
これを分化といいます。

 

しかしちゃんと初期化されたiPS細胞を作り出すというのは
本当に大変な事なのです、なので医療に応用することが
難しいのです、そこで登場したのがスーパーiPS細胞なのです。
一体どういう事なのでしょうか?

 

慶應義塾大学の福田教授、これまでのiPS細胞の
作り方には重大な弱点があると話します
必ずしも効率よく作れるものではないと。

 

するとiPS細胞には胚様体と呼ばれるものがあります
この胚様体は、大きさにばらつきがある
大きい胚様体はこれからも成長が見込めるいわば
エリートの胚様体なのです。

 

こうしたばらつきがあると患者自らの細胞を使った
再生医療の実現は難しい
事がわかった。

 

そんな中、福田教授はあるたんぱく質を使う事を思いついた
それがH1fooというたんぱく質です。

 

皮膚の細胞に山中ファクターとH1fooを混ぜて
初期化を行うと、大きな胚様体がたくさんできたのです
その割合は8倍もアップした
どうしてこんなことが起きたのでしょうか?

 

福田教授が注目したのは受精卵
受精卵では細胞分裂の元となる最も初めの段階
卵細胞から2細胞期までの間にH1fooが働きます。

 

それに対して血液や皮膚から作るiPS細胞の場合は
H1fooが元々ありません、福田教授はそこに注目し
この山中ファクターとH1fooを混ぜて製作をしたら
スーパーiPS細胞が効率よく作れるようになったという事なのです。

 

以前はiPS細胞を製作するとき、50個くらいのiPS細胞を
1人の患者さんから作るのですが、そのうちに品質が
高いものを探していくとほんの数個しかないといいます。

 

これでは自分自身のiPS細胞を使った再生治療を行うのは
困難と言われている、しかしH1fooを入れてiPS細胞を作ると
10回のうち、8回か9回は使えるiPS細胞となっているのです。

 

そうしますと自分の細胞を用いてiPS細胞を作ることができる
自家細胞を用いた再生医療が可能となってくる
・・・すごいですね。

 

福田教授がH1fooに注目した理由とは?

長年再生医療に取り組んできていて、iPS細胞の前には
ES細胞を研究していたのです、ES細胞は受精卵を元にして
作られる万能細胞
です、ES細胞もiPS細胞も受精卵が
何度か分裂した後に出来る内部細胞塊と同じなのです。

 

しかしES細胞は成長力が強く、その後順調に数を増やすが
iPS細胞はES細胞ほどの成績は出せない
のです
そこで福田教授は改めてES細胞の成長過程を調べてみることに。

 

注目したのはES細胞になる前の段階で、卵細胞から2細胞期の間
この期間にだけH1fooが存在することを突き止めた
この時H1fooはコアヒストンというたんぱく質に巻き付いた
DNAに作用し溶きほぐします、これによって様々な遺伝子に
働きやすくなり完全な初期化となる。

 

一方iPS細胞はどうかというと、皮膚や血液の細胞から
時間をさかのぼるので、卵細胞から2細胞期を経由しないので
H1fooの影響を受けていないのです。

 

そこで福田教授はES細胞の要素を加えたH1fooを使うやり方で
スーパーiPS細胞を作ることに成功したのです。

 

医療応用への道も近いのかなって思うのですが、現状では
3年前のiPS細胞から作った網膜の細胞の移植以降は
行われていないとのこと、その理由として
今までの医療の中には前例がなく安全性を担保する事が
非常に強く求められているという事があり行われていない。

 

そのためには多くの時間と認可も必要となる
人を対象とした臨床研究というのは2018年から本格的に
開始されると言われています。

 

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iPS細胞の分化とは?

マウスを使用した実験で未分化の状態で移植をしたら
色んな細胞が混じってしまい奇形種が出来上がったのです
iPS細胞がどんなものでも生み出せるという事があだとなり
暴走が起こってしまいこのようなことになったとされています。

 

本来の目的とする細胞、それ以外の細胞が混ざってしまった場合
がん化するリスクがあるのです。
このリスクを取り除くには、余計な混ざりものを取り除いて
行くという方法がとられているようです、どういうことなのか?

 

それは兵糧攻めのような方法だというのです
iPS細胞にはこの栄養分がないと困る!というような
栄養分があることがわかっているのです。

 

そこを狙って兵糧攻めをし、心筋細胞以外の細胞を
速やかに取り除くような方法をとっている

 

iPS細胞はブドウ糖とグルタミンを栄養とし分化
心筋細胞へと姿を変えていきます、ところがこの時
他の細胞も出てくるのです、兵糧攻めとは
こういう段階でブドウ糖とグルタミンを絶ってしまい
心筋細胞以外の細胞を飢え死にさせよう
という
大胆な方法をとったのです。

 

しかし大事な心筋細胞まで死滅してしまうのでは?
って思うのですが、心筋細胞は元気に拍動する
ブドウ糖とグルタミンがなくても乳酸があれば
生存することが可能なのです
これで心筋細胞だけを得られるようになった。

 

これを大量に製作することが可能になると心筋細胞が
たくさん出来上がります、いち早く医療に
使用されることが望まれますね。

 

さらに福田教授の慶應義塾大学では
iPS細胞から作った心筋細胞を効果的に
人体に届けるための医療器具の開発も行われている。

 

6本の注射針が束のようになったものなのですが
針に小さな穴がいくつか開いていて
これを刺すと一度に大量の心筋細胞を投与できる。

 

iPS細胞の量産化は可能なのか?

東京女子医科大学の松浦教授はエンジニアと
協力をしてユニークな開発をしました。

 

ヒトiPS細胞の3次元の大量培養装置というものです
培養液の中には小さな粒がたくさん浮いている
粒というのはiPS細胞が1000個ほど集まった塊。

 

ここで培養できる数というのは1億個で従来の
5倍の数と言われている、なぜこうまで増えたのか?
培養のやり方を2次元から3次元に変えたことが大きい。

 

細胞にとっての3次元というのは人の体の中に
いるのと似た状況で、細胞というのはお互いの足場を
求めあいぎゅっと寄り添う、これを凝集といいますが
このような性質がある、こうすることでお互いに
増殖や文化に必要なたんぱく質を出し成長の
スピードを速めると考えられている。

 

この方法によって培養のスピードがアップしたのです
しかし大きな壁も以前はあり、細胞に栄養や酸素を
いきわたらせるためには常に浮遊させ
培養液と触れさせないといけない。

 

普通の撹拌機だと、培養液が上下にかき回され
それによって細胞の多くが破壊されてしまった
そこで特殊な器具を製作するメーカーに製造を
依頼し現在の3次元の培養が可能となった
世界の研究機関でこの装置の導入がされています。

 

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